音楽演奏利用者団体|日本の音楽これで委員会

朝日新聞社 編集局長室「フォーラム面」への寄稿


練習の演奏でも著作権料? JASRAC方針を考える

赤田康和2018年4月23日05時02分

上記リンク先のとおり、音楽教室から著作権料を徴収することについて、朝日新聞社 編集局長室「フォーラム面」が意見を募集していたので、下記の通り意見を送りました。クリックするとPDF書類が開きます。

音楽教室から著作権料を徴収することについて音楽教室から著作権料を徴収することについて

音楽著作権のJASRACによる運用に疑問をお持ちの方も、ぜひ「音楽教室から著作権料を徴収することについて」ご自身の考えを寄稿してください。


以下寄稿全文

【音楽教室から著作権料を徴収することについて】

日本の音楽これで委員会

お知らせ


運営管理代表: 河崎覚

現在、JASRACが音楽教室から音楽利用料徴収しようとしているJASRAC管理楽曲の包括的利用許諾料徴収」は、例え支払ったとしても、実際に利用された楽曲の著作者へ正しく分配がされない仕組みです。JASRACによる同様の包括的利用料徴収がすでにおこなわれているBGMやライブハウスや放送利用の一部では、利用楽曲をJASRACが正確に調査しないために正確に分配されていない事実を、文化庁が国会答弁で認めています。

正しく調査できない根拠として「利用者に一曲毎の利用報告をさせる事は、利用者側に負担となることから」という、音楽利用によって受益した者の負担軽減のために正確な調査が出来ない。という趣旨の答弁をしました。それでも包括徴収を続ける理由として、JASRACは著作者から信託された著作権を管理運用している以上、利用した者から徴収しない訳にはゆかない。という論理です。しかし、JASRACはこれまで分配先や分配根拠となる音楽の利用データを一切明確に示していません。

JASRACが著作者から信託された著作権を管理運用するという契約をしているのであれば、JASRACが一方的に“音楽利用受益者に対して利用楽曲の調査をしない”という独自の配慮は、信託契約上問題があります。JASRACが行っている徴収と分配は、全てがJASRACのサジ加減によって差配する事を文化庁が認めている形となっていますが、本来正確な利用調査が出来ないのであれば、徴収の根拠が成立しないと考えるべきです。

JASRACは信託契約者に分配をしている立場ですから、信託契約者がJASRACの著作権運用に対して意見をした場合、分配そのものが減額される可能性があります。また、NHKや民放各局、ラジオ放送局など、JASRACの許諾無しには音楽の利用が不可能となってしまうことで不利益を受ける立場の利用者も、JASRACの利用料徴収に意見した場合、利用許諾されなくなる危険があります。これこそ、JASRACによる「ライセンスハラスメント」を誘発している問題構造であり、文化庁や文科省は早急に是正するべき案件だと捉えるべきだと考えます。

音楽教室についても同様に、利用楽曲の調査をJASRACがせず、徴収したJASRAC管理楽曲利用許諾料を正しく分配しないのであれば、著作権料を徴収することは出来ないと考えます。
何故なら、そうしてJASRACが集めたお金は著作者に分配されずにどう扱われるのか不明ですから。